中野剛志/アベノミクス継承では「賃上げ」できない〈「利潤主導型」成長戦略と決別し、「賃金主導型」成長戦略へ大転換せよ〉――文藝春秋特選記事【全文公開】(文春オンライン) - Yahoo!ニュース

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☆☆☆:議論用ではない
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Dec 27, 2021 09:28 PM
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中野剛志氏(評論家)
菅義偉首相は、「最低賃金の引き上げ」に前向きだと言われているが、「賃金上昇」の重要性に着目したこと自体は全くもって正しい。過去20年以上にわたって日本経済が抱えてきた最大の問題が、「賃金の下落」にあることは間違いないからだ。 図(1)を見れば分かるように、日本の「実質賃金」は1998年以降、減少傾向にある。それだけではない。安倍前政権によるいわゆる「アベノミクス」の下では、実質賃金はさらに急落し、低迷した(コロナ禍に見舞われる前に、すでにそうだった)。 もっとも、安倍前政権もまた、「賃金上昇」を目指してきたはずだ。ところが、実質賃金は民主党政権時を下回る水準まで下落し、低迷したのである。 したがって、賃金上昇を実現するには、その前提として、賃金が上昇するメカニズムを理解しておく必要がある。逆に言えば、「どうして過去20年以上にわたって、賃金が下落してきたのか」、とりわけ「なぜアベノミクスは賃金の急落を招いたのか」を反省し、過去20年間の政策から大転換を図らねばならない。 まず、賃金下落をもたらす原因は何かと言えば、これは様々である。しかし、最も根本的な原因はやはり「需要不足(供給過剰)」であろう。需要が不足し、労働機会が乏しければ、労働者は低賃金でも仕事にありつかざるをえなくなる。そうなったら、賃金は下がる方へと向かいこそすれ、上がることは考えにくい。 需要不足では、デフレになる。したがって、もしデフレやディスインフレ(物価上昇率が極端に低い状態)であれば、需要が不足していると判断できる。実際、物価上昇率(コアコアCPI)を見ると、実質賃金が下落し始めた1998年以降、デフレあるいはディスインフレが続いている(2014年と2019年に一時的に物価が上がったのは、消費税率の引き上げによる)。