日本で緊急事態宣言を拡大・延長、計6都府県で8月31日まで 「自粛疲れ懸念」 - BBCニュース

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Aug 1, 2021 11:52 PM
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緊急事態宣言の拡大・延長を発表する菅首相(30日夜、首相官邸)
オリンピック開催中の日本で新型コロナウイルスの新規陽性者が記録的に急増する中、菅義偉首相は30日夜、首相官邸で記者会見し、緊急事態宣言の対象地域を拡大し、期間を延長すると発表した。ただし、罰則の伴う厳しい行動制限を実施してきた諸外国の「ロックダウン」と異なり、要請ベースのため、「自粛疲れ」の中での実効性について疑問視する声もある。
菅首相は、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県に新たに、8月2日から31日まで緊急事態宣言を発令すると発表した。これに伴い、緊急事態宣言下にある東京都と沖縄県と合わせ、計6都府県に拡大する。
宣言の期限が現在、来月22日までとなっている東京と沖縄の期限も、あわせて延長する。北海道、石川、兵庫、京都、福岡の5道府県では、まん延防止等重点措置が適用される。
東京オリンピック・パラリンピックの大会組織委員会は30日、新たに選手を3人を含む大会関係者27人が新型コロナウイルスに感染したと発表した。1日の感染者の数としては、過去最多。選手、スタッフ、委託業者、ボランティアら大会関係者の感染者累計は225人になった。
菅首相は会見で、新型コロナウイルスがデルタ株を中心に「これまでに経験したことのないスピードで感染が拡大している」と危機感を示し、緊急事態宣言による行動制限とウイルス接種の推進で重症化リスクを減らしていく方針を示した。
首相は今回の感染拡大局面ではこれまでと異なり、65歳以上の高齢者の重症化が大きく減っていると指摘し、「ワクチン接種の効果が顕著に表れている」と述べた上で、「若い世代の感染が急拡大している」状況や、「40~50代の重症者が増加傾向にある」状況は、強く憂慮すべきだと話した。
このまま感染者の増加が止まらなければ重症者数もさらに増加し、病床が逼迫(ひっぱく)する恐れがあるため、ワクチン接種を進めながら緊急事態宣言とまん延防止等重点措置の地域を拡大し、期限を延長する判断をしたと説明した。
首相はさらに、「自粛疲れ」の広がりや、「コロナは怖くない」という認識が若者世代に広がる状況に懸念を示し、「デルタ株の出現によってこれまでとは変わり、若い世代の方々も重症化リスクが高まっており、感染後も重い後遺症に苦しんでいる人がいる」と指摘した。
その上で首相は、ワクチン接種のほかマスク着用や「三密」回避などの対策継続を国民に求めたほか、時短・休業要請など負担を強いられてきた飲食店には「給付金を早期に」支払うため、審査簡素化の体制整備を進めると述べた。
ワクチン接種については、「戦略的スケジュール」で接種を進めた結果、「今月末には高齢者の8割近くが2回の接種を終える見通し」だと説明。その後は、次に重症化リスクが高い40~50代、あるいは感染が急拡大している若い世代への接種に注力し、8月下旬には接種完了者が全国民の4割を超えるよう全力を尽くすと表明した。
首相はさらに、5月に承認されていた英アストラゼネカ製ワクチンを公的接種に使うことにした30日の政府決定に触れ、「200万回分が確保できている」ため40代以上に提供していくと説明。加えて、「抗体カクテル療法」と呼ばれる新型コロナウイルス治療薬を提供していくこと、PCR検査や抗原検査について「身近で気楽に検査できる体制を整えていく」ことなどについて話した。
首相はその上で、「社会経済活動の制限緩和に向けた道筋を示していく」、「今回の宣言が最後となるよう全力で対策を講じていく」と、国民に理解を求めた。
会見に同席した政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、「最も深刻な危機に直面している」、「今は火事が燃え盛っている状態」だと現状について厳しい認識を示した上で、「ワクチン接種率は伸びているので、今みんなでがんばれば社会経済活動を再会できる見通し」になり、今の局面を「乗り越えれば光が少しずつ見えてくる」と強調した。
さらに、緊急事態宣言などの行動制限は、「みんないやですよ」と認め、「国民の複雑な心情に寄り添った発信」の必要性を指摘した。
首相が触れた検査体制の強化については尾身会長も、昨年に比べて国内の検査能力が「圧倒的に増えている」とした。その上で、「ちょっとでも具合の悪い人、感染の心配のある人は、職場・学校・地域のどこでも気楽に検査できる体制」を構築してもらいたいと要望した。
東京では緊急事態宣言下でも新規陽性者が急増している
欧米など諸外国の多くは罰則の伴う法的な行動制限、営業制限など、いわゆる「ロックダウン」を繰り返してきた。一方、日本ではほとんどの行動制限が「要請」にとどまるため、緊急事態宣言の実効性について疑問が出ている。
官邸での記者会見で、「ロックダウン」を可能にする法整備を検討するか質問されると、菅首相は欧州などで罰金を伴うロックダウンをしても、感染者数はいったん「落ちてまた上がってきて、なかなか出口が見えなかったと思う」と述べ、「結果的には、(感染抑制の決め手は)やはりワクチンだったと思う。日本において『ロックダウン』という手法はなじまない」と見解を示した。
一方、BBCが話を聞いた日本の若者の中には、「緊急事態宣言に慣れすぎてしまって、外出を控えようという気持ちがなくなっている」と話す人もいた。
「政府が本当にウイルスの拡大を止めたいなら、私たちをロックダウンして経済的な支援をしないと」と言う人もいた。
一方、東京都の小池百合子知事は27日、「ワクチンを若い人にも打ってほしい。若い人たちの行動がカギを握っている」と発言した。しかしこれに対しては、そもそも接種の予約ができないという不満が若者世代を中心に出ている。