【COP26】 目標達成しても2.4度上昇か、世界の気温=報告書 - BBCニュース

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☆☆☆:議論用ではない
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Nov 16, 2021 11:48 PM
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考察的・思想的
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調査、データ、観察的
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画像提供, Getty Images
画像説明, インドネシアでは干ばつによって森林火災が起こりやすくなっている
開催中の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)では、参加各国が種々の取り組みを宣言している。だが地球の気温上昇の抑制という点では、目標にまだ遠く及ばないことが、最新の分析で示された。
名門の独ポツダム気候影響研究所など多くの機関の支援を受け、各国の気候対策を追跡している「クライメート・アクション・トラッカー」(CAT)が、温暖化について算定した。
それによると、世界の気温は今世紀末までに摂氏2.4度上昇する見通し。上昇幅を1.5度までに抑えるとする各国の約束を大きく超えている。
CATはCOP26について、「信用性、行動、約束の点で巨大な隔たりがある」としている。
英グラスゴーで開かれているCOP26は、気候変動を抑制するうえで重要な会議と考えられている。
先週は、森林破壊を終わらせるとする共同声明など大きな発表が相次ぎ、楽観的な空気が流れた。しかし今回の予測は、それと対照的なものだ。
イギリスの気象庁はこのほど、世界の平均気温が産業革命前と比べて2度上昇すれば、致命的な熱さと湿度によって10億人が影響をうける恐れがあると警告した。
それと時期を同じくして公表された今回のCAT報告書は、各国政府がCOP26の開催前や期間中に打ち出した公約を分析した。
その結果、2030年の温室効果ガスの排出量は、気温上昇を1.5度未満に抑えるためにこれ以上出してはならないとされる量の2倍に上るとしている。
科学者たちは、上昇幅を1.5度に抑制することで、気候変動の最も危険な影響を回避できるとみている。
2015年にパリで開かれたCOP21では、危険な気候変動を避けるための計画を打ち出した。その中で、温暖化を1.5度未満に抑えるための「努力を推し進める」ことも掲げられた。
しかし今回、各国政府の実際の政策(公約ではなく)をCATが分析したところ、世界の気温は2100年までに2.7度上昇するとの予測に至った。
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動画説明, 気温50度の暮らし 温暖化が急速に進むクウェートの「耐えがたい」暑さ
環境団体「グリーンピース・インターナショナル」のジェニファー・モーガン事務局長は、「今回の新たな算定は、地球に向かっている小惑星に望遠鏡の照準を合わせたようなものだ。衝撃的な報告であり、グラスゴーに集まっている各国政府に対し、直ちに違いを脇に置いて、共通の未来を救うために熱意をもって協定を結ぶよう迫っている」と話した。
ただ、2015年にパリでCOP21が開かれて以降、世界の見通しは改善している。当時、CATは地球の気温が3.6度上昇する見込みだとしていた。
2030年までの温室効果ガス排出削減に向けた前進が限定的になっていることについて、CATは各国政府の「気運の失速」が原因だとしている。
CATはアメリカと中国が新たにネットゼロ(温室効果ガスの排出を実質ゼロにする取り組み)を約束したことについて、気温上昇をわずかに改善するものだとしている。しかし、気候変動を抑制するための各国政府の計画は、ほとんどが非常に質が低いと結論づけている。
ネットゼロの実現には、温室効果ガスの最大限の削減と、なお排出された分を植林などによって補う必要がある。木々には大気から二酸化炭素を除去する働きがある。
ネットゼロの実現は140カ国以上の政府が約束している。これは世界の排出量の90%をカバーする。
CATに関わる団体の1つ、「クライメート・アナリティクス」のビル・ヘア最高責任者は、「各国政府に目標達成までの計画がなく、2030年までの目標が現在のように低いままであれば、率直に言って、ネットゼロを掲げたのはただのリップサービスだ」と話した。
同団体は、約束と予測に大きな隔たりがあるのは、石炭とガスの生産が続けられているのが主な原因だとしている。
COP26では、インドなどの国々が新たにネットゼロを目標に掲げたことや、数々の発表がなされたことを受け、今世紀の気温上昇は1.8度に抑えられるとの見方が出回っている。
開幕時、国連環境計画が発表していた2.7度と比べると、大きな前進のようにも思えた。
この混乱した状況は何が原因なのか?
世界の温室効果ガスの排出量の90%をカバーする140カ国以上は、今世紀中頃までのネットゼロ達成を目標にしている。中国は2060年、インドは2070年だ。
2030年までの各国の取り組みを基にすれば、世界の気温は2100年までに2.4度上昇するという。もしこれに、アメリカと中国の長期目標(気温上昇幅を2.1度に下げる)を加味すれば、全体像はいくらかよくなる。
仮にすべての国がそれぞれのネットゼロの長期目標を実現するとしたら、確かに上昇幅を1.8度に抑えることは可能だ。
だが現実には、2030年に向けた真剣な計画が欠けていることからして、これらの長期目標の多くは実現しないだろう。
この会議におけるいかなる合意も、次の10年間をにらんだ強力で信頼できるものでなくてはならない。でなければ、グラスゴーのCOP26は失敗とみなされるだろう。