【基本から解説】ジョージ・フロイド事件はアメリカの何を変えたのか | クーリエ・ジャポン

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Jul 30, 2020 10:40 PM
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ジョージ・フロイド事件に抗議する人々(5月27日、ミネソタ州ミネアポリス) Photo: Stephen Maturen / Getty Images
5月25日に黒人男性のジョージ・フロイドさんが白人警官に殺害されてから2ヵ月がたった。全米に広がる抗議行動を受け、黒人奴隷制度の維持を主張した南部連合の旗の使用禁止や、奴隷制支持者の彫像の撤去など、すでにさまざまな変化が起こっている。だがこのことが、大きな社会的変革へと結びつくかどうかはまだ注視が必要だ。
事件のポイントを基本からわかりやすく解説する。

そもそも「ジョージ・フロイド事件」とは

きっかけはジョージ・フロイドの死だった。事件はミネソタ州ミネアポリスで5月25日に起こった。偽札を使おうとした男がいるという連絡を店から受けた警察は、車の中にいるフロイドを発見した。警察は、車から降りるように命じられたフロイドが抵抗したと説明したが、この説明は防犯カメラや一般人の動画記録とは食い違っている。
動画ではデレク・ショービン警察官が、8分以上に渡りフロイドの首を膝で押さえつけ続けた記録が残っている。その際、フロイドは「息ができない」「殺される」と助けを求めていた。
ショービンは現場にいたほかの3人の警察官と共に逮捕され起訴されたのだが、ショービンの起訴を担当したヘネピン郡検察の検察官マイク・フリーマンは、ヘネピン郡検視官の暫定検視報告として、死体には外傷性の窒息の形跡はなく、冠状動脈疾患や高血圧が死亡につながった公算が大きいと発表した。
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殺害されたジョージ・フロイドさんを描いた壁画(テキサス州ヒューストン) Photo: Joe Raedle / Getty Images
一方、遺族は独立検視官を雇い、その発表では「首と背中の圧迫による窒息によって引き起こされた殺人」とされた。
郡検視官と独立検視官の見解は大きく異なるように思われたが、実際にはそうではないようだ。ミネソタ州最大の新聞「スター・トリビューン」の記事では、検察の暫定的な報告として発表された時点では、まだ検視は引き続きおこなわれていて、詳細な報告書には「警察官が彼(フロイド)の首を圧迫することによって、彼の動きを抑え込み拘束し、フロイドは心臓が止まった時に死亡した」と結論づけているとしている。
報告はさらに心臓病、フェンタニル(註:麻薬性鎮痛剤)中毒、最近のメタンフェタミン(註:覚せい剤の一種)の使用がフロイドの死を高めた可能性があるとしている。
死に至る過程は複雑なもので、検視官はすべての要因を挙げる必要があった。2つの報告書を読んだ弁護士によると、法的観点からするとこの2つ報告書には違いは見られないという。
それでは、何が違うのか。そこには、警察官の起訴を担当した検察官フリーマンの意図があったようだ。ミネアポリスを代表する10人のミネソタ州議員は、ミネソタ州知事のティム・ワルツに手紙を送り、この裁判をミネソタ州司法長官のキース・エリソンの管轄に移すことを求めた。
この手紙のなかで10人の議員たちは「残念なことに、私たち地区の有権者、特に有色人種の有権者たちは、ヘネピン郡検察官のマイク・フリーマンが今後、これらのケースを公正かつ公平に調査し、起訴する能力を持つことへの信頼を失った」と述べた。
ワルツ知事はこの要請に応え、この起訴をエリソン州司法長官の担当とした。当初フリーマンはミネソタ州の法律で第3級殺人、第2級過失致死の罪でショービンを起訴したが、エリソン州司法長官はさらに重い第2級殺人、第2級過失致死で起訴しなおした。
第3級殺人は最長禁固25年、第2級殺人は最長で禁固40年となる。ミネソタ州の法律では、第2級殺人には殺意あるいは「重罪を犯し、あるいは犯そうとするなかで、死をもたらす意図なしに、人を死に至らせた状況」が必要となる。
ショービンは記録によるとフロイドが動かなくなったあとの3分間、話すことを辞め、息をしなくなったような状態ののちの2分間、膝をフロイドの首から外すことなく、そこにいた警察官のひとりがフロイドの手首を調べ、脈がないと言ったあとでもすぐに動くことはなかった。
この記録が第2級殺人に値するというのがエリソン州司法長官の見解だ。しかし、ショービンが首に置いた膝が原因ではなく、抑えられている間に何らかの違う原因で心肺機能停止状態になったと判断される可能性もある。
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デレク・ショービン Photo: Ramsey County Sheriff’s Office / Getty Images
「殺意があった殺人、あるいは殺意があったか不明な殺人が含まれる違法行為において、警察官を起訴することは非常に困難であり、過去数年間に公にされた事件をみると、それが本当だと容易に理解できる」とエリソン州司法長官は語っている。
これがジョージ・フロイド死亡事件の現在までの概要だが、アメリカに住んでいる者にとって、白人警官が黒人を射殺する事件は珍しくない。

頻発する白人警官による黒人殺害事件

フロイドが殺された2日後の5月27日にはルイジアナ州で35歳の黒人男性モデスト・レイエスが、白人警官に射殺された。郡保安官事務所によると男は銃をもち、保安官に銃を向けたとしている。モデストの家族は、その発表を信じず、彼は銃を向けるような人間ではないとしている。
郡保安官事務所はそれを立証するビデオがあるとしているが、あまりに生々しいので一般には公開しないという。検視ではモデストは背中を銃で撃たれ死亡したと報告された。
また、6月12日にはジョージア州アトランタで、ファーストフードのウェンディーズ店舗の駐車場に止めた車のなかで寝ていたレイシャード・ブルックスが、やはり白人警官に背中を撃たれ死亡した。
そのほかにも、フロイドの死を受け、過去に起こった事件にも注目が集まった。コロラド州デンバー郊外では、23歳黒人男性イライジャ・マクレインがコンビニにソフトドリンクを買いに出掛けた際、怪しい人物がいるという通報を受け、白人警察官3人が駆けつけた。
警官のひとりは「怪しい」と声をかけ、マクレインは「好きなところに行く権利がある」「家に帰るところだ。放っておいてくれ」と答えた。警官はマクレインを取り押さえ始めた。その後、揉み合いとなり、警察は彼の喉の部分を押さえた。その後やってきた救急隊は強力な鎮静剤のケタミンを注射した。マクレインは病院に運ばれる途中で心不全を起こし、数日後に死亡した。
「怪しい」と通報を受け揉み合いとなった3人の警官は全員ボディカメラを装着していたが、3つのボディカメラは、揉み合いになるとすぐに2つが落ち、最後の3つ目も揉み合いを少し記録したあと、身体から離れた。ボディカメラがすぐに身体から落ちてしまったのは意図的だとマクレインの家族側は訴えている。
検視結果は、心不全に陥った死因の決め手が、警察官の行動と言えるかには議論の余地があるものとなっている。しかし、警察がその夜に彼を取り押さえようとしなければ、彼はまだ生きているはずだと家族側は語っている。
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警官が関与したイライジャ・マクレインの死について正義を求めるいとこのラシア・ヴィール(2019年) Photo: Andy Cross / MediaNewsGroup / The Denver Post / Getty Images
これまでに白人警官の銃あるいは暴力によって死に至った黒人には以下の人々がいる。
ブリノラ・テイラー(2020年3月13日ケンタッキー州、26歳)、ステフォン・クラーク(2018年3月18日カリフォルニア州、22歳)、フィランド・キャスティル(2016年7月6日ミネソタ州、32歳)、ウォルター・スコット(2015年4月4日サウスカロライナ州、50歳)、タミル・ライス(2014年11月22日オハイオ州、12歳)、マイケル・ブラウン(2014年8月9日ミズーリ州、18歳)、エリック・ガーナー(2014年7月17日ニューヨーク州、43歳)。
そして、警察官からではないが、最近ではアマード・アーベリー(25歳)が白人の親子に、そして古くはトレイボン・マーティン(17歳)がヒスパニック系混血の「自警ボランティア」の男から銃撃を受け命を失った。
また、最近ニューヨークでは、飼い犬に常にリードをつけるよう決められているセントラルパークのあるエリアで、リードなしに犬を連れていた白人女性を、黒人男性のクリス・クーパーが注意したところ、彼女は「アフリカ系アメリカ人の男が私の命を脅かしている」と警察に通報すると言って、実際に警察に通報した。
この通報で警察は駆け付けなかったが、警察官が現れた場合どうなっていたかはわからないと、クリスの姉妹であるメロディ・クーパーは5月31日に「ニューヨーク・タイムズ」に寄稿した文のなかで述べている。
「クリスがバードウォッチングをしていた公園の、樹木が茂った、ランブルと呼ばれるエリアに警察が現れたとしたら、私の兄弟のアイビーリーグの学位(彼はハーバード大卒)や素晴らしい履歴も彼を守らなかったことは間違いありません」
警官の質問への受け答えによっては、彼は逮捕されていた、あるいはそこから暴力に発展した可能性はある。

白人も殺害されているが…

もちろん、白人も白人警察官によって射殺されている。「ワシントン・ポスト」の5月29日付の記事によると、アメリカで射殺される白人の数は黒人の数よりも多いという。しかし、その記事から見ることができる、アメリカ合衆国国勢調査局のウェブサイトからの情報では白人の人口は黒人人口の6倍の数なので、割合的には黒人が射殺される確率の方が高い。
そして、数字よりも重要なのが受け止め方だろう。同じ「ワシントン・ポスト」の記事によると、白人警官が白人を不当に扱った動画を見たとき、白人は怒り、悲しむが、その動画の白人と自分は別人だと感じる。
一方、今回のジョージ・フロイド事件のように白人警官が黒人の首の部分を膝で抑えつけている動画を見たとき、黒人はその黒人が自分、自分の子供、友人、あるいは兄弟であり得ると感じる。
白人は警察官の問題を感情のなかで区切ってしまい込めるが、黒人は自分のものとして内在化させる。このことは、黒人の親の74%が警察官には注意するようにと自分の子供に警告を与える一方、白人ではその割合が34%になっていることでもわかる。

今回はこれまでと何が違うのか

これらが、現在までのアメリカでの白人警官と黒人の関係といえるが、今回のジョージ・フロイドの事件は、今までにない広がりを見せている。これまで紹介してきたように、黒人は白人警官に射殺されてきた。その度に抗議の声は上ったが、今回はアメリカ全土に広がった。これまでと何が違うのか。
カリフォルニア大学ロサンゼルス校社会学部長のダーネル・ハントは「ニューヨーク・タイムズ」のコラムニストに「社会学者は何十年にもわたって集団行動、都市の秩序不安を研究し続けてきたが、私が思うに、秩序不安をもたらすのは、引き金となる1つの事件だけではないとするのが一致した見解である。常に一連の複数要因が、集団的な行動、不安、そして人の動きを作り出す」と語っている。
コロナウイルスの蔓延、失業者の増加、トランプ大統領の政治姿勢などが今回のデモの広がりの要素になっていることは間違いないだろう。
そして、今回の抗議の特徴は、抗議の裾野が警察と黒人、あるいは犯罪という切り口だけではないことだろう。それは、今回の抗議活動が、黒人に不当な暴力を振るう警察官の確実な処分や警官の意識改革だけに留まっていないことを見ても確かだと思える。

抗議行動が変えた8つのこと

それでは、今回の抗議をきっかけにどんなことが起こったかを挙げてみる。
1.ミシシッピ州の州旗を変える法律が州議会・上院で可決された。ミシシッピ州は黒人奴隷制度の維持を主張して南北戦争を戦った南部連合の旗のデザインが州旗に残っていたアメリカ最後の州だったが、南部連合の旗のデザインを州旗から取り除く法案を州議会、州上院で可決し、州知事も合意した。これにより、アメリカのすべての州で南部連合の旗のデザインを掲げる州はなくなった。
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ミシシッピ州の旗。左上に南部連合の旗のデザインが含まれている Photo: Bill Colgin / Getty Images
2.アメリカで人気のある自動車レースNASCAR(ナスカー)はレースのコース上と施設内での南部連合旗の使用を禁止した。
3.アメリカ陸軍が運営する大きな基地で、南北戦争時に奴隷制度を擁護した南軍の司令官の名を冠した基地の名称変更が検討された。トランプ政権のエスパー国防長官やマッカーシー陸軍長官ら国防総省当局者も、名称変更の議論に柔軟な姿勢を示していたが、トランプ大統領は反対の姿勢を鮮明にした。
4.米海兵隊が関連施設から南部連合旗の表示をすべて撤去する決定を下し、米海軍もその動きに追従した。
5.バージニア州では首都リッチモンドに建つ南軍司令官のリー将軍の像を撤去する方針をノーサム州知事が打ち出した。これに対し、バージニア州の旧家が裁判を起こし、現在、撤去は裁判で争われている。一方、テキサス州ダラス、ルイジアナ州ニューオリンズではリー将軍の像は撤去された。
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南軍のロバート・E・リー将軍の像の前でデモ隊に話しかけるジャスティン・フェアファックス副知事(バージニア州リッチモンド) Photo: Zach Gibson / Getty Images
また、ニューヨークではアメリカ先住民と黒人を従え馬に乗るセオドア・ルーズベルトの像の撤去をニューヨーク市が決定した。また、オレゴン州ポートランドでは、ジョージ・ワシントンの像とトーマス・ジェファーソンの像が、カリフォルア州サンフランシスコではユリシーズ・グラントの像が活動家によって引き倒された。
6.プリンストン大学は、教育機関や学生寮の名称からウッドロー・ウィルソン元大統領の名前を外すと発表した。ウィルソンはプリンストン大学の学長を務めたが、彼の人種差別的な考え方や政策を踏まえての決定だという。
7.ジョージ・フロイドの事件からちょうど1ヵ月後の6月25日、米下院本会議は警察改革法案を可決させた。体の後ろ側から相手の首を締めるチョークホールドの禁止、警察の不正行為の被害者が警察を提訴することを可能にする規定、警察の過剰武器装備の見直しなどが盛り込まれたこの法案は、連邦議会黒人幹部会により起草された。
ホワイトハウスが賛成票を投じないよう指示するなか、3名の共和党議員が賛成に回り、賛成236、反対181で可決された。米下院民主党議員総会議長ハキーム・ジェフリーズは「抗議者の皆様、我々にはあなたたちの声が聞こえ、姿が見えています。我々はあなたたちです」と票を投じる前に語った。下院で可決された法案は、上院では通過の可能性はなく、この法案が法律になることはないとみられている。
8.ナショナル・フットボール・リーグのワシントン・レッドスキンズがチーム名とチームロゴの変更を決定した。1933年から使われているレッドスキンズのチーム名はアメリカ先住民に対する人種差別的な名称だとされてきた。
オーナーは長年、チーム名称の変更はしないとしてきたが、今回の抗議の盛り上がりのなか、フェデックスやナイキなどの企業からの圧力を受け、変更を決めたようだ。新たな名称やロゴはまだ発表されていない。大リーグのクリーブランド・インディアンズもチーム名の変更を検討しているという。
以上が、現在までに起こっていることの簡単な紹介だが、さらにいろいろなことが様々な場所で起こっている。
すべては書き切れるものではなく、たとえば、初期の抗議デモの際に店舗などが破壊され略奪にあったが、それは「デモをしていた人々が暴徒化したもの」「窃盗団がやったもの」「左翼が計画的に狙ってやったもの」「右翼が計画的にやったもの」「州外からの白人至上主義たちがやったもの」とどれが正確な情報なのかわからないものもある。
ひとつ言えることは、ジョージ・フロイドの死から起こったこの運動は白人を取り込むことができなければ、大きな社会的変革はみられずに終わってしまうだろうということだ。

自分の特権に気づかない白人は人種差別に気づかない

最後となるが、6月21日付の「ニューヨーク・タイムズ」の電子書籍を含むノンフィクション部門のベストセラートップ10で、1冊を除いてすべてアメリカの人種問題に関する本が上位を占めた。こんな状況は見たことがない。
その週1位となったのは、白人女性社会学者ロビン・ディアンジェロの『白人の脆さ』(White Fragility、未邦訳)だった。アメリカ社会は白人にとって快適な社会だが、その社会は有色人種の犠牲の上に成り立っていて、白人は自分が優位性を持つ社会のなかで特権を有している意識がないと著者は言う。
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『白人の脆さ』の著者ロビン・ディアンジェロ Photo: NBC / NBCU Photo Bank / Getty Images
タイトルの白人の脆さとは、小さな人種的ストレスを受けただけで耐えられなく、すぐに自己防衛に走る白人の状況を指している。
著者が、企業に人種のことを語って欲しいと依頼され、その企業で人種差別とはなにかを話し始めたとき、白人男性社員が「白人はもう仕事を得られなくなっている」と拳を机に打ちつけながら叫んだという。部屋には40人の社員がいて、その内の38人は白人だった。
そして著者は人種差別とは何かを語っただけだった。著者はなぜ、この白人男性はこんなにも怒りを表しているかを考えた。
人生で与えられる機会は人種、性別、階級によって大きく異なる。そうしたなかで、多くの白人たちは個人の成功は能力と努力によるもので、社会的構造や人種が問題ではないとする。そして、人種差別とは差別的な考えを持つ個人がおこなうもので、社会的な構造ではないとする。
白人ばかりが暮らす郊外地域に住み、黒人との交流がまったくない人間は、自分には人種的な先入観や敵意はないと100%信じている。
この本は、白人にとって人種差別を語るのがなぜ困難かについて語られている。人種差別を白人側からみた珍しい視点の本だ。
今回、この原稿を書いて、抗議活動をおこなう人々の目的は何だろうと考えた。警察改革、公の場所での南部連合旗の廃止、南部連合将軍の象の撤去などひとつひとつのことが大きな目的ではないはずだ。
彼ら、彼女たちの目指すものは何なのかを言葉にしようと考えていた時に、ABCのニュースレポーターが「Power structure to be changed(権力構造の変革)」という言葉を使った。そうかと僕は思いついた、これはアメリカ社会にある支配の構造の構図を変え、人種差別的な歴史観を変えようとする活動なのだ。
それがどこまで進むのか、それはこれからのアメリカ人たちの考え方や行動にかかっている。
PROFILE
秦 隆司(はた・たかし) 1953年東京生まれ。ブックジャム・ブックス主幹。 マサチューセッツ大学卒業後、記者、編集者を経てニューヨークで独立。1996年にアメリカ文学専門誌「アメリカン・ブックジャム」創刊。2001年、ニューヨークに渡ったいきさつを語った『スロー・トレインに乗っていこう』(ベストセラーズ)を出版。2018年『スロー・トレインに乗っていこう』を電子版として復刊。近著に『ベストセラーはもういらない ニューヨーク生まれ返本ゼロの出版社』(ボイジャー)。アメリカの政治ニュースを追うポリティカル・ジャンキーでもある。
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