大統領選の「神風」が新しい政権への「逆風」になるとき | クーリエ・ジャポン

★★★:バランスよく議論できる
★★☆:意見を吟味する
★☆☆:客観的情報
☆☆☆:議論用ではない
☆☆☆:議論用ではない
ある特定のオピニオンが述べられる
ある特定のオピニオンが述べられる
いつ登録したか
Jan 27, 2021 11:01 PM
オピニオンが含まれない
オピニオンが含まれない
カテゴリー
両論が併記される
両論が併記される
事実ベース
事実ベース
立体的(多角的)
立体的(多角的)
考察的・思想的
考察的・思想的
複数のオピニオンが含まれる
複数のオピニオンが含まれる
調査、データ、観察的
調査、データ、観察的
notion imagenotion image
Photo: Drew Angerer / Getty Images
選挙の流れを左右する要因には、表では語られにくい不都合な真実も絡む。それらは政権に「亡霊」のように静かに憑依し続ける。アメリカの選挙の現場と裏側を知る政治学者が解説する。

イラク戦争がオバマ政権を誕生させた「不謹慎」な真実

選挙の趨勢を決定付ける要因は、概(おおむ)ねポリティカリー・インコレクト(Politically Incorrect)であり、「不謹慎」である。だからこそ表で堂々と答える選挙インサイダーは少ない。それはジャーナリストのキャリアアップが、自分の赴任先で歴史的な事件・事故に遭遇できるかに左右されるのと同種の不謹慎さだ。過去の米政権の例で考えてみる。
ディック・チェイニー副大統領を描いた風刺映画に『バイス』(2019年日本公開)という作品がある。筆者が字幕監修に協力した際、劇場用パンフレットに政治用語集とコラムの執筆を依頼された。そこで解説したのが「オバマはチェイニーに感謝しなければいけない?」という不謹慎かつ不都合な事情だ。オバマ政権はイラク戦争への反動で生まれたからだ。
2008年大統領選挙を前にアメリカでは米兵の犠牲増加や捕虜虐待報道で反戦論が吹き荒れ、戦争賛成の「前科」があるヒラリー・クリントン上院議員を引きずり下ろす運動がリベラル派内で芽生えた。当時の民主党の目玉候補は、ジョー・バイデン上院議員、ジョン・エドワーズ上院議員、ニューメキシコ州のビル・リチャードソン知事など、いずれもイラク戦争に賛成した政治家で、イラク戦争に真っ向から反対していたのは泡沫候補の平和主義者デニス・クシニッチ下院議員ぐらいだった。
notion imagenotion image