軍用機でタリバンの拠点があるアフガニスタン北部の都市マザーリシャリーフを目指す米軍兵 Photo: Damon Winter / The New York Times
共同通信の佐藤大介記者が、アジアの最新ニュースを分析する新連載「アジア・ウォッチ」。初回は、11月に迫る米大統領選を前に新たな局面を迎えているアフガニスタン和平をレポート。停戦協議が長引く理由と、複雑に絡み合ったアメリカ、タリバン、アフガン政府それぞれの思惑を解説する。
「米大統領選」が実現させた停戦協議
ニューヨークの世界貿易センタービルなどを狙った2001年の米中枢同時テロから、9月11日で19年となった。
このテロは、米軍がアフガニスタンを空爆し、米国史上最長となるアフガン戦争に突入する契機となったが、19年目の節目となった翌日の12日、アフガン政府と反政府武装勢力タリバンの恒久和平実現に向けた停戦協議が、カタールの首都ドーハで開始された。
ドーハで行われたアフガン政府とタリバンの停戦協議。ポンペオ米国務長官も立ち会った Photo: Mujib Mashal / The New York Times
停戦協議が実現したのは、2020年11月の米大統領選で再選を目指すトランプ大統領が2期目の公約として「終わりなき戦争の終結と駐留米軍の帰国」を掲げており、外交分野での実績づくりとして後押ししたことが大きい。