SNSで話題の黒人体操選手が想いを語る「白人中心の体操競技の境界線を広げたい」 | クーリエ・ジャポン

★★★:バランスよく議論できる
★★☆:意見を吟味する
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☆☆☆:議論用ではない
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ある特定のオピニオンが述べられる
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Feb 19, 2021 10:58 PM
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UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の体操選手ニア・デニス Photo: Jayne Kamin-Oncea / Getty Images
黒人音楽に合わせたパフォーマンスをおこなうUCLAの体操選手ニア・デニス(21)。昨年、ビヨンセの音楽を使った床演技がツイッターで20万近い「いいね」を獲得し、大きな注目を集めた。
白人女性が中心の体操界で「ブラック・エクセレンス」をキーワードに、アメリカで生きる黒人女性の日々の喜びや闘いを表現してきたデニスが、米紙のインタビューに答えた。

黒人文化へのオマージュ

体操競技のルーティーン演技には、正式な名前はつかない。
だが、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)の体操選手ニア・デニスは、とにかく自分の演技に名前をつけるのが好きである。
最新作の名前は「ザ・カルチャー」だ。ルーティーン演技のなかで使った黒人アーティストやミュージシャンたちへのオマージュ作品である。「文字通り、すべてがブラックカルチャーでできています」と彼女は言う。
デニスは、ミッシー・エリオット、ケンドリック・ラマー、トゥパックの曲を少しずつ用いて、約2分間の「ブラック・エクセレンス」に仕上げた。
このルーティンはインターネット上で、すぐに話題となった。大学4年生のデニスは言う。
「黒人ができること、克服できることのすべてを祝福したかったのです。すべての逆境と抑圧を経験して、私たちはここまできました」
観る者を熱狂させたニア・デニス「ザ・カルチャー」
白人女性が主流の体操というスポーツで、デニスは、黒人の経験を称揚することで評価されている。昨年はビヨンセにインスパイアされた演技がネットで話題になり、「エレン・デジェネレス・ショー」に出演した。
デニスはオリンピック体操選手を目指す一方で、「境界線を押し広げる」取り組みにも妥協しない。彼女のルーティンは常に彼女自身を反映していると語る。つまり、アメリカの黒人女性であることの日々の喜びと闘いを表しているのである。
私はデニスに、最新のルーティンと将来の計画について尋ねた。
──このルーティンが生まれたのは何がきっかけだったのでしょう?
ブラック・ライブズ・マターのデモが大きな土台になりました。実は今年の夏に肩の手術をしたので、外には出られませんでした。なんとか治して、シーズンに備えようとしていたところでした。でも、気持ちの上では外に出て、デモとともにありました。
──ブラック・ライブズ・マターをどのように体操に取り入れたのでしょう?
ブラック・ライブズ・マターはとても重く、話すのが難しい話題です。だからときには、人々が今いる場所で、人々に会ってお祝いする必要があるのです。どの曲も、それぞれの時代の主要な黒人アーティスト、ミュージシャンによるものです。彼らは黒人文化に大きな影響を与えましたし、私も大きな影響を受けました。だから文字通り、彼らがしてきたことを祝福し、今、私の人生のなかで最高の時間を過ごしているのです。
──白人のスポーツのなかで黒人選手であることについて、どのように感じていますか?
オハイオ州に住んでいた時、ジム全体で黒人の体操選手は私と他に2~3人しかいませんでした。私はいつも白人の体操選手に囲まれていました。髪の毛はいつも注目の的です。「髪の毛触っていい?」「どうやってあんな風に立てるの?」こういうものと折り合いをつけなければいけませんでした。
──他に黒人体操選手として苦労したことはありますか?
文字通り身体イメージです。体操の世界では、身体のイメージがやはり大きな問題となります。痩せて、ほっそりしているのがいいのです。私はパワフルで爆発力のある体操選手なので、いつも太っていると思われていました。人々が求めるスタイルやルックスがありますが、私はそれに合わなかったのでしょう。私のラインはきれいじゃないって言われました。
ビヨンセの曲を使い、話題になったパフォーマンス
──ラインが「きれいじゃない」とはどういうことでしょうか?
たとえば、バーでハンドスタンドをするときは、完璧なラインにしなくてはなりません。肋骨をしっかりと寄せ、超タイトに絞り、つま先を尖らせ、すべてが完璧なラインになるようにするんです。私は脚が力強いぶん、ラインがきれいじゃないと言われました。
アメリカの黒人女性としての自分自身を見つけるのは大変でした。私はいつも「あなたは不充分」と言われていましたし、他の人が求める理想的なイメージに合わせようとしていました。それでUCLAに来ました。ここは、黒人の優秀さ、そして私を称えることができる場所です。他の場所では考えられませんが、ここでは私が私であることができます。