イギリス、香港市民への特別ビザ開始 30万人が申請か - BBCニュース

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Feb 1, 2021 10:56 PM
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イギリス政府は1月31日、香港市民にイギリス市民権を獲得できる道を開く、新たな特別査証(ビザ)の申請受付を開始した。約30万人が申請するとみられている。
イギリス政府は昨年6月、中国政府が香港国家安全維持法(国安法)を施行したのを受け、特別ビザの導入を発表した。
国安法は、香港での反逆や扇動、破壊行為、外国勢力との結託などを禁止するもので、違反者は最高で無期懲役が科される。すでに多くの民主派活動家などが逮捕され、実刑判決を受けている。
中国政府はかねて、イギリスに内政干渉しないよう警告していた。外交部は、今後はBNOパスポートを旅券と認めないと述べている。
ボリス・ジョンソン英首相は、かつてイギリス領だった香港との「歴史と友情の固い絆」を尊重したものだと説明した。
英内務省によると、昨年7月以降すでに7000人の香港市民がイギリスへの長期滞在許可を得ている。
特別ビザは、1997年の香港返還以前に生まれた香港市民が持てるイギリス海外市民(BNO)パスポートの保持者約290万人と、その扶養家族230万人が対象。しかしイギリス政府は、最初の5年で約30万人が申請するとみている。
BNOパスポートは本来は渡航許可証で、イギリスへの渡航についても、6カ月のビザなし渡航しか認められていない。保持者に自動的に就業や居住を認めるものでもなく、社会保障の対象にもならない。
しかし、今回の特別ビザ制度では、対象者はイギリスに5年間滞在でき、就業・就学も可能となる。5年の時点で永住権の申請ができるようになり、さらにもう1年滞在することで、市民権を得る資格が与えられるという。
また、特別ビザ制度の開始前にイギリスに移住した7000人についても、「相応の理由」があるとして特別に滞在許可が出ている。
ジョンソン首相は、「香港のBNO保持者がイギリスで暮らし、働き、生活できる新しい道を作れたことを大変誇りに思う」と述べた。
「イギリスは香港市民との歴史と友情の固い絆を尊重し、共に価値を置く、自由と自治のために立ち上がった」
プリティ・パテル内相は、香港市民が中国当局による摘発を恐れるなか、特別ビザは対象者への保護を拡大するものだと説明した。
中国外交部の趙立堅報道官は澎湃新聞の取材で、特別ビザ制度は中国の主権を脅かし、中国と香港の内政に深く介入するものだと述べた。
「イギリス側は、香港が24年前に中国に返還された事実を軽視している」
中国政府は併せて、1月31日からBNOパスポートを旅券と認めないと発表。ただし、具体的な措置がどうなるかは明らかになっていない。
香港市民は同市から出る際、香港政府が発行した旅券や身分証を使う。中国に入る場合には、出入境管理局が発行する回鄉証(内地通行証)を使うか、外国の旅券でビザを申請する必要がある。
一方、BNOパスポートが必要になるのはイギリスをはじめとする、BNOを旅券と認める国への入国時のみ。
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動画説明, 茶葉、アヘン、戦争……香港とイギリスの歴史を2分で解説
香港はかつてイギリスの植民地で、1997年に中国に返還された。
イギリス政府と中国政府は香港返還前の1984年、「一国二制度」を維持することで合意。英中共同声明と呼ばれるこの合意には、香港では2047年まで、集会結社の自由や表現の自由、報道の自由など基本的人権が保障されるという約束も含まれていた。
しかし活動家たちは過去数年間、こうした香港の自由が中国によって侵食されていると主張している。民主化を求める抗議活動では、抗議者と警察がたびたび暴力的な衝突を起こしている。
一方の中国政府は、民主化を求める抗議行動に揺れる香港の安定を取り戻し、中国大陸とのさらなる一体化につながるとして、国安法を擁護している。
<解説>ジェイムズ・ランデル外交担当編集委員
イギリス政府は、世界のためになることをすると約束してきた。BNOパスポート保持者が香港から脱出できるよう支援するこの特別ビザ制度は、その約束を端的に表す最も明確な実例かもしれない。
抑圧を口で非難するのと、抑圧に対抗する具体的な対策を実施するのは、別の話だ。
イギリスは今回、香港市民を守るという20年以上前の約束を実行したことになる。
まず、このビザでイギリスに移住した香港市民は、どういった支援を受けるのだろうか。
この人たちは、長期的にはいずれイギリスの経済と文化を豊かにしてくれるかもしれないが、短期的には支援が必要だ。
どこに住むのか? どうやって仕事を見つけるのか? 最初の5年で想定された約30万人より大勢が申請したら? イギリス在住者は移民受け入れをどう思うだろうか?
そして何より、中国はこれまで報復を約束していたが、それはどういうものになるのか。
BNO保持者を公職から除外したり、投票を禁止したり、出国さえ禁じたりとしたら、イギリスはどう対応するのだろうか。