前回の総選挙からまだ約2年。衆議院の任期は半分残っていて、内閣不信任案が出されたわけでも重要法案が通らなかったわけでもない。今回、投票所に足を運んだ人でさえ、多くは「ピンとこないまま選挙が終わった」んじゃないだろうか?
「日本国憲法69条には、『内閣不信任案が可決されたときは、衆議院を解散しない限り内閣総辞職しないといけない』ということが書いてあります。憲法で解散の状況を規定しているのはここだけ。ただ、それと別に7条には、内閣の助言と承認のもとに行なわれる『天皇の国事行為』の3番目に『衆議院を解散する』と書いてあります。
内閣が助言すると書いてあるから、内閣の思惑でなんでもできるという解釈もできるし、69条にわざわざ不信任案のことが書いてあるんだから、それしか解散はできないという解釈も学説としてはあります。しかし戦後、不信任案可決の場合以外でも何度も解散が決行されたことで、なんとなく『あり』なこととして定着した。“憲法慣習”という位置づけですね」
事実上、日本の首相は“フリー解散権”を保持しているわけだ。では、諸外国ではどうだろうか?
アメリカには解散制度自体がなく、フランスやドイツも厳しい制限がかけられている。もともとはフリーハンドだったイギリスも、2010年に新たな法律が成立し、「簡単に解散できない」制度へと転換した。