デルタ株“1つの起点から全国拡大か” 国立感染症研究所が分析 | 新型コロナウイルス | NHKニュース

★★★:バランスよく議論できる
★★☆:意見を吟味する
★☆☆:客観的情報
☆☆☆:議論用ではない
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Aug 5, 2021 11:14 PM
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国内でも主流になっている新型コロナウイルスの「デルタ株」について、国立感染症研究所が遺伝子のデータをもとにどう広がったか分析したところ、海外から首都圏に流入した1つの起点から全国に広がったとみられることがわかりました。
国立感染症研究所は、感染力の強い変異ウイルスデルタ株について、感染した人から採取したウイルスの遺伝子を解析してどう広がったか分析した結果を4日、厚生労働省の専門家会合に示しました。
それによりますと現在、全国各地に広がっているデルタ株の系統で最も初期のものは、ことし5月18日に首都圏で海外渡航歴がない人から検出されたウイルスだったと分かり、さらに調べると、これとよく似たウイルスが4月16日に空港の検疫で見つかっていたということです。
国立感染症研究所は海外から流入した1つの起点から首都圏を中心に拡大し、その後、全国規模で拡散したと推定されるとしています。
一方で、ことし5月ごろ関東や関西、中部、九州などで確認されていた、海外から流入したとみられるデルタ株のクラスターの多くは大きな感染拡大につながらず、7月初旬ごろまでにはほぼ収まったとみられるということです。
国立感染症研究所の脇田隆字所長は、「これまでの国内の流行でも、やはり1つの起点から全国に拡大していて、今回も同じことが起きている可能性がある」と話しています。

デルタ株 首都圏では感染全体のほぼ90%か

感染力が強い変異した新型コロナウイルス「デルタ株」は、首都圏ではすでに感染全体のほぼ90%、関西でも60%余りを占めるなど、急速に置き換わりが進んでいるとする推定の結果を、国立感染症研究所がまとめました。
国立感染症研究所が民間の検査会社7社の「変異株スクリーニング検査」のデータを基に、デルタ株でみられる「L452R」の変異が含まれたウイルスが、どれくらいの割合を占めているか推定した結果を4日、厚生労働省の専門家会合で示しました。
それによりますと、東京都ではデルタ株などがすでに90%、神奈川県、埼玉県、千葉県を含めた首都圏の1都3県でも89%を占め、今月下旬にはほぼすべて置き換わるとしています。
また大阪府、京都府、兵庫県の関西の2府1県では、先月上旬までは少ない状態でしたが、急速に広がって63%となっていて、今月下旬には80%を超えるとしています。
さらに沖縄県で89%、福岡県で85%などと、各地で置き換わりが進んでいて、入院患者が急増し、医療のひっ迫につながっていると指摘されています。
専門家会合の脇田隆字座長は「デルタ株は感染力が従来のウイルスの2倍程度で、従来と同じ対策を同じ程度の強さで講じても制御が困難だ。感染が急拡大している地域では人流を抑えるだけでなく、人と人との接触機会の削減を行うしかない」と話しています。
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新型コロナウイルスってヒトからヒトへの感染を繰り返していく間に、遺伝情報が1年間で24か所くらいコピーミス、つまり変異すると言われています。
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オンラインで取材しました。
でも、変わったとしても、ウイルスの性質にあまり関係ない遺伝情報のコピーミスだったので、日本国内で変異ウイルスが問題になることはしばらくありませんでした。
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アルファ株
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変異ウイルスは、トゲトゲが変化したことで、②の段階でヒトの細胞にくっつきやすくなる、あるいは③の段階で細胞に入り込みやすくなったため、感染力が高いのではないかといわれている。
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デルタ株
他にも、しっかりと手洗い・消毒をするとか、感染対策を項目として挙げればこれまでと同じと考えてしまうかもしれませんが、1つ1つの対策を基本から徹底しましょうということなんです。
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トランプ大統領 2020年10月
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編集:小浜一哲 カメラ:梶原龍 徳山夏音
あわせてごらんください
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どこに処分?

核のゴミ 原子力発電所で使い終わった核燃料から出る高レベル放射性廃棄物のこと。日本では、さらにここから再利用できるプルトニウムなどを取り出し、残った廃液をステンレス製の容器に流し込んで固めたもの(ガラス固化体)のことを指す。
核のゴミは非常に強い放射線を出すので絶対に人が行けないようなところに処分しないといけません。そこで各国は、地下深くに埋めるという方法で処分しようとしています。
そうすれば、なかなか人も容易に近づけないし、仮に放射性物質が漏れたとしても地上に上がってくるまでには相当な時間がかかるのでこの方法にしましょう、というのが世界の共通認識です。
以前は、宇宙に持っていこうとか、海底に埋めようとか、あるいは南極の氷の下に埋めてみようなど、さまざまな方法が検討されました。
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水野解説委員は初任地・青森で核燃料サイクル施設の建設をめぐる取材に携わったことをきっかけに、東海村の臨界事故や福島第一原発の事故など、これまで通算20年以上にわたり原子力を専門に取材。最終処分場の問題をめぐり、フィンランド・スウェーデン・フランス・ドイツの現場を取材した経験も。
でも、宇宙にもっていく場合、もし、ロケットの打ち上げに失敗したら放射性物質を地上にまき散らしてしまうことになるので、それはできないねと。
海底や南極は、核に限らず、廃棄物を処分しないようにしようという国際条約がある。
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オンラインで取材しました。

各国の状況は?

原発を保有する国は日本だけではないと思うんですけど、海外ではどこまで「核のゴミ」の処分が進んでいるんですか?
その隣のスウェーデンでは、建設する場所がもう決まっています。そして正確な場所は決まっていませんが、建設する自治体までは決まっているのがフランスです。
当然、反対意見がまったくでないという国は1つもありません。フィンランドとスウェーデン、北欧の2つの国も例外ではありませんでした。
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フィンランドで建設中の最終処分場 地下約420メートル付近(2017年撮影)
2016年に建設が開始されたフィンランドですが、本格的な処分場探しは40年近く前から始められました。
反対もあり、今の処分地が決まるまでにはさまざまな紆余曲折があり、20年かけてようやくという感じでした。
反対運動もありながら、どうしてフィンランドでは核のゴミを埋める場所を決めることができたのですか?
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フィンランドでは、最終処分を行う実施機関が100か所ほどの場所で地質調査をして、一番、岩盤的にも強固な場所の自治体に処分場の受け入れをお願いしました。
そして地下を掘って地元の人を招き「見てのとおり水もほとんどないし、大きな地震もなく、20億年前から動いてない」という説明をして、理解を得て、受け入れが決まりました。
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でも、フィンランドやスウェーデンでは社員のほぼすべてが、大学で地質学を学んできた人など、専門性の高いプロパーで占められています。
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なので「“この人たちがやるんであれば、任せてみようか”みたいな感覚が生まれて最終的には受け入れました」という説明を地元の人たちからよく聞きましたね。
日本だと福島で大きな事故を起こしているんで信頼ってないんですけど、フィンランドの原発では過去に大きい事故やトラブルがなかったので、ある程度、電力会社や政府、原子力規制機関への信頼が高いんだと感じました。
ドイツ政府は40年前から北西部にあるゴアレーベンという場所を処分場にしようと研究を進めてきましたが、2013年に白紙に戻して再検討することになりました。
ゴアレーベンの地層は、昔、海だったところが隆起して水が失われ、塩だけが残った岩塩層です。
もし、水があると、その流れに乗って放射性物質が地上に移動して来る懸念があるのですが、ドイツ政府はそのような心配はないとしていました。
最終処分場の候補地だった施設(ドイツ・ゴアレーベン・2013年撮影)
ところが、低レベルの放射性廃棄物を埋めていた別の場所の岩塩層に、地下水が入り込んでいるというのが分かったんです。
それが地表まで出てくるかもしれないという問題が持ち上がり「“岩塩層は安全だ”って言っていたのは嘘だったのか」という感じでものすごい反対運動が盛り上がりました。
あとはアメリカでも、広大な土地があるので捨てる場所いっぱいあるように思えるんだけど、同じように候補地を絞っていく中、地元で大きな反対運動が起きました。
政権が交代するとガラっと政策が変わるので、最初からやり直しみたいな状況になっています。候補地が全く決まっていない日本と比べれば進んではいますけど。

日本はどうなっているの?

原発で使い終わった燃料から再利用できるプルトニウムやウランを取り出し、その後、残った廃液をガラスに混ぜてステンレス製の容器に流し込んで固めます。
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処分場のイメージ図
地球全体で比べると、日本列島ができたのはわりと最近。ヨーロッパなんかは何十億年も前にできたんですけど、日本列島が今のような形になったのは、1000万年~1500万年ぐらい前なんです。
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次回は日本における最終処分場をめぐる議論について詳しくみていきます。
編集:小浜 一哲
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核のゴミって何?

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水野 倫之 解説委員
水野解説委員は初任地・青森で核燃料サイクル施設の建設をめぐる取材に携わったことをきっかけに、東海村の臨界事故や福島第一原発の事故など、これまで通算20年以上にわたり原子力を専門に取材。
この放射性廃棄物の中で、最も放射能レベルが高いのが、発電で使い終わった核燃料(使用済み核燃料)です。
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核のゴミができるまで
日本では、さらに、ここから再利用できるプルトニウムなどを取り出し、残った廃液をステンレス製の容器に流し込んで固めています(=ガラス固化体)。これが核のゴミです。
専門的には「高レベル放射性廃棄物」と言いますが、放射能レベルが非常に高く、処分も難しいので、かなり厄介だというニュアンスを込めて「核のゴミ」と呼ばれるようになりました。

10万年の管理が必要

核のゴミは高レベルの放射性廃棄物ということですが、そのレベルってどのような基準で決まるのですか?
ただ、放射性物質の種類によって違うのですが、高レベル廃棄物も1000年ぐらいたつと大体99%ぐらい放射能はなくなるといわれています。
でも、それではまだ最終的に安全とは言えないということで、天然のウラン並みの放射能になるためにかかる「数万年」にさらに余裕を加え、10万年は隔離しなきゃいけないという話になっています。
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オンラインで取材しました。
今から10万年前というと、我々人類の祖先、ホモ・サピエンス(現生人類)が大陸各地に広がっていった時期。
そこから今に至るまでの間隔で、人が絶対に手をつけないような隔離方法を考えなきゃいけないと考えると、どれだけ厄介なものかということが分かると思います。
核のゴミの大もとの使用済み核燃料は、基本的には、全国にある原発の中で保管されています。
あとは、2022年度上期の完成を目指している青森県六ヶ所村にある再処理工場にも、すでに運びこまれています。
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青森県六ヶ所村の再処理工場で保管されている核のゴミ オレンジ色のふたの下に収納されている
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10年前に変わった潮目

原子力発電は昔から行われてきたはずなのに、なぜ、今なお、核のゴミが問題になっているのでしょうか。
日本では60年代から原発を使い始めていて、当時から核のごみが出てくる事は分かっていました。
でも、エネルギーの需要が増え続けるなかで、石油などに頼らない方法として、どんどん原発を建設していこうということになったんです。
原発をどんどん作っていこうという段階のときに、核のゴミの処分については深刻に考えていなかったということ?
そうです。結構、厄介な問題だし、ちょっと処分場の話をすると反対運動にあったりするということもあって、なかなか進みませんでした。
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それとは別に、使用済み核燃料を保管していたプールの水が蒸発し始め、使用済み核燃料も溶けて、大量の放射性物質が放出されるおそれもあったんです。
幸い、プールの水がなくなる事態は免れましたが、そこでようやく、やっぱり核のゴミのもとを地上に置いたままにしておくっていうのは、良くないという話になったんです。
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2011年3月18日放送の「ニュース7」
日本が排出しているCO2の40%は電気を作るときのものなので、とにかくCO2を出さないような発電方法にしていきましょうと、火力発電の見直しを進めています。
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そうした中にあってCO2フリー電源の代表格は再生可能エネルギー。しかし、再生可能エネルギーだけで、2050年にすべての電気を賄うというのは現実的ではないとの見方もあります。

無関係ではない核のゴミ!

一般の人たちが簡単に目にできる場所には保管されていないので、自分たちのゴミという感覚はなかなか持てないのかもしれません。
次回は「核のゴミ」の処分方法や、海外の状況について見ていきます。
編集:小浜 一哲