新型ウイルス、中国研究所から流出の可能性は「極めて低い」=WHO調査 - BBCニュース

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Feb 10, 2021 11:03 PM
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国際保健機関(WHO)のピーター・ベン・エンバレク博士は、ウイルスが武漢の研究所から漏れた可能性は「極めて低い」と述べた
新型コロナウイルスの起源を探っている国際保健機関(WHO)が主導する調査団は9日、このウイルスが中国の研究機関から流出した可能性はほぼないとした。
このミッションを率いたピーター・ベン・エンバレク博士は、ウイルスが武漢の研究所から漏れ出た可能性は「極めて低い」と述べた。
その上で、ウイルスの発生源を突き止めるにはさらに調査が必要だとの見解を示した。
関係筋によると、調査は今後、東南アジアに注目する可能性があるという。
中国中部・湖北省の武漢市では、2019年末に世界で初めて新型ウイルスが検出された。現在までにこのウイルスによる感染症COVID-19に世界で1億600万人以上がり患し、230万人以上が亡くなっている。
エンバレク博士は記者会見で、この調査で新たな情報が明らかになったものの、アウトブレイクの全体像を劇的に変えるものではなかったと話した。
専門家らは、ウイルスは動物からヒトに感染した可能性が高いとみているが、経路は明らかになっていない。
エンバレク氏は、COVID-19の発生源を特定する調査ではコウモリが「自然宿主」だとされるものの、それが武漢で起きた可能性は低いと述べた。
動物からの経路は現在「調査中」とした上で、ヒトには別の動物を経由してうつった「可能性が最も高い」としている。
専門家らはまた、2019年12月に最初に記録された感染より先に、武漢でこのウイルスが流行していた「兆候はない」としている。
中国の衛生健康委員会の梁万年氏は、新型ウイルスは武漢で検出される前に他の地域で発生したのかもしれないと指摘した。
調査団は、冷凍食品の流通や貿易などでウイルスが運ばれてくる「コールドチェーン」感染の可能性について、追加調査が必要だと訴えた。
WHOのピーター・ダツァク博士は、発生源の調査は今後、東南アジアにうつる可能性があると述べた。
ダツァク博士は武漢で取材するBBCのジョン・サドワース記者に対し、「中国ではすでに多くの調査を行った。だが国境にまで視野を広げた時、東南アジア側についてはほとんど調査が行われていない」と話した。
「中国は非常に広く、東南アジアも広大だ。(武漢の)華南海鮮市場へのサプライチェーンは多岐に渡っていて、他国からも中国のさまざまな場所からも品物がやってくる。これを追跡するのは大仕事だ」
その上で、調査対象は今後、こうしたサプライチェーンへ移るべきだと述べた。
WHOによる調査は数カ月に渡る中国政府との交渉の末、1月に始まった。調査団の武漢訪問は、中国当局の監視の下に行われた。
中国でも有数のウイルス研究施設である武漢ウイルス研究所(WIV)から新型ウイルスが流出したという疑惑は、昨年浮上し、ドナルド・トランプ前米大統領が広めた。
アメリカの情報機関のトップは当時、新型ウイルスは人工だったり遺伝子操作を受けたりしたものではないとした一方で、研究所内での動物との接触や何らかの過失によって、流行が始まった可能性について調査していると語っていた。
しかしエンバレク博士は今回、調査でWIVを訪れ、ウイルスなどが流出する可能性は「非常に低い」ことが分かったと述べている。
その上で、研究所からの流出説は「今後の研究では前提に含めない」と語った。
政治的緊張の中で行われた調査の結果、1年前に始まったパンデミックの起源を、専門家らが中国で特定する見込みはほぼなくなった。調査団は武漢のウイルス研究所を訪問後、新型ウイルスが人工である、あるいは研究所から流出したものであるという説にふたをした。
調査団は華南海鮮市場も訪問した。魚や肉だけでなく生きた野生動物も扱うこの市場は、最初のヒトへの感染と関連付けられた。
新型ウイルスは動物からヒトへと感染したとみられているが、その証拠はまだ見つかっていない。
宿主としてはコウモリやセンザンコウが上げられているが、これまでの研究では確かな証拠は得られていない。このほか、ウイルスが冷凍食品を介して広まった可能性についても調査が進められている。COVDI-19の起源探しはまだまだ続きそうだ。