「“全部自分の責任です”っていうリーダーを、俺は信用しない」TAKUROが語るリーダーの哲学|新R25 - シゴトも人生も、もっと楽しもう。

★★★:バランスよく議論できる
★★☆:意見を吟味する
★☆☆:客観的情報
☆☆☆:議論用ではない
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Sep 28, 2019 04:58 AM
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調査、データ、観察的
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日本を代表するロックバンド・GLAY。
今年でデビュー25周年を迎え、10月2日には15枚目のアルバム『NO DEMOCRACY』のリリースを控えています。
そんなモンスターバンドを率いてきたギタリスト・TAKUROさんは、2005年に設立した事務所「loversoul」の代表取締役であり、その後自主レーベル「lovesoul music & associates」、現「LSG」も立ち上げています。
今回新R25では、常にリーダーという立場でバンドや会社を牽引してきたTAKUROさんに、「リーダーとは何か?」というテーマで取材を行いました。
TAKUROさんの考える「カリスマとは」「責任の取り方とは」「20代ですべきこととは」など、深いお話をたくさんうかがうことができました。
〈聞き手=サノトモキ〉
【TAKURO】1972年、北海道函館市生まれ。ロックバンド・GLAYのギタリスト兼リーダー。1988年にGLAYを結成し、1994年にデビュー。2005年に設立した事務所「loversoul」の代表取締役であり、その後自主レーベル「loversoulmusic & associates」、現「LSG」も立ち上げた

リーダーは弱みを見せろ!「しんどくなったら飲み会してもらってる(笑)」

いや、俺は弱い姿、ガンガン見せてますよ。
心がしんどくなったときは「リーダーが辛くなったので全員集合してください」って連絡してみんなで飲み会してもらってるもん(笑)。
なんですかそのかわいさは…
でも、圧倒的な存在感でチームを引っ張る、カリスマ的なリーダーもいますよね。
それこそミュージシャンにはカリスマリーダーが多い気が…。そういうリーダーは目指さなかったんですか?
カリスマって、本人がカリスマになるんじゃなくて、まわりがそうあってほしいから勝手に呼んでるだけなんだよね。
みんな、「この人なら絶対大丈夫」って安心できるような、圧倒的な存在が欲しいんだよ。
で、いつからかリーダーも弱音を言えなくなって、圧倒的なカリスマであるかのように振舞わざるを得なくなっていく。
カリスマを顕微鏡でのぞいてみると、みんな泣いてるんだよ。
堀江(貴文)くんとかSHOWROOMの前田(裕二)くんとか、カリスマと呼ばれる人たちだって他の人と同じように、成功以上に失敗しまくってるわけ。
だけどみんなは彼らにカリスマでいてほしいから、「失敗」を見ようとせず、「成功して当たり前」と一方的に期待するんだよね。
僕を含め、世の中のリーダーとかカリスマとか呼ばれてる人たち、自信なんてないですよ。
正直なことを言ったらね、「10月に出すアルバム全力で作ったけど、7割クソ曲でも許してね」って話ですよ。バッターでも打率3割で一流なんだから、10割を求めないでほしい(笑)。
リーダーだって人生1周目、毎日初めてのことだらけで手探りなんだから。
めっちゃくちゃ正直なTAKUROさん
だから、リーダーはいっそ、そういう弱さを正直に出していったほうがいいと思うんだよね。
たとえば我々4人がGLAYという船を漕いでるとして、具合悪くなってんのに我慢して黙ってたら、俺が力出せなくて軌道が変わっちゃっても、まわりが気づけないから。
本当にチームのことを考えたら、カッコ悪いとか恥ずかしいとか、そんな自分の些細な感情を気にしてる場合じゃないのよ、リーダーは。

「“全部俺の責任です”というリーダーを、俺は信用しない」

聞きざわりのいい言葉ではあるけど、本質的な問題解決から逃げてるように思うんだよね。プロジェクトが失敗したり、何か不祥事が起きたとき、リーダーだけが悪いなんてこと、絶対にないはずだから。
べつに、「犯人連れてこい」って言ってるわけじゃないよ。
「何が悪かったのかきちんと原因を究明して、きちんと説明して、改善策を示す」。これが、リーダーがすべき「責任の取り方」だろって言いたいのよ。
そうそう、日本は「問題解決」より「パフォーマンス」が重要視されてる。
某事務所の問題を見てても思ったよね。日本の謝罪会見って、壮大なる大喜利だなって。「さあ、お前はどう謝る?うまく謝れたら許してやる」って大喜利。
でも、それはまったく本質的じゃないよね。お涙ちょうだいの演説を求めたって何の意味もないのに、そういうパフォーマンスをリーダーに求めてしまってるのも、日本のリーダーのあり方を歪めてる一つの原因だね。
ためになる話が多すぎてメモが止まらない

20代は、上と下との板挟みだった。リーダーは「登る山」を決めろ

TAKUROさんにもそんな中間管理職みたいな時期が…
レコード会社ってようは上司みたいなもので、「これくらいの売上目指せ!」とか、「このメンバーはこういう売り出し方でいけ!」とかマネジメントをするわけね。
それに対してメンバーが乗り気になれなかったりして。
「20万人」というライブ動員数の記録を樹立したとき(1999年)も、“上司”である会社側は「次は21万人目指します?」とかしょうもないことを言ってくる。
そのとき、何をもって自分たちの「成長」と捉えるのか、上と下でギャップがあることに気づいたんだよね。
そこで、「俺たちはどんな山を登るのか」を明確にさせなくちゃいけなくなった。それを言葉にするのが一番難しかったね。
会社は売上や動員数みたいな数字を追っかけて、エベレストみたいな山に登ろうとしてたと思うけど、俺やメンバー3人にとって本当に目指したいのって、どんな未来なんだろうってことを真剣に考えたの。
それで結局、俺たちはじいちゃんになっても4人でワイワイバンドができて、ときどき家族と贅沢できればそれで十分幸せなんだって答えにたどり着いた。

「嫁の前でも素の自分を見せたことはない」

「いつ会っても同じ」って、すごいことなんです。自分の些細な感情を仕事に持ち込んだり、機嫌でコミュニケーションを変えない。
さっき「リーダーは弱さを隠すな」って言いましたけど、それはあくまで「チームに迷惑をかけないために、自分を装うことはするな」って意味で。
たとえばそれは、家族に対しても同じだと思うんですよね。
嫁に対して平気で機嫌悪い顔見せる旦那とかいるけど、リスペクトが足りてないなって思います。
結婚生活なんて、死ぬまでなんとか一緒にやろうっていう人生最大のプロジェクトだったりするじゃない。
家族の前でも…!? これが真のリーダーなのか…
子どもの前だろうが、嫁の前だろうが、メンバーの前だろうが、それぞれの前での「理想の男像」を目指しながら過ごしてるんです。
「自分らしく」とか「あるがままの自分」とか聞こえのいい言葉もあるけど、「素の自分を見せない」っていうのは、ある意味究極の「リスペクト」の表明方法だと、俺は思うんだよね。
その姿勢だけはずっと崩さないようにしてるのが、俺なりの「リーダー論」ってところでしょうかね。
取材後、「どうしてこんなに正直に話してくれたんですか…?」と聞いてみたところ、
「こういうときって、大きく言っても小さく言っても仕方なくない? かっこつけたり謙虚になったりするより、本当のことを言うのが一番役に立つでしょ?」
とめちゃくちゃかっこいいお言葉をいただきました。
なんでも背負ってくれる、強いリーダー。
そんな“一般的なリーダー像”とはまったく異なったTAKUROさんのリーダー論ですが、僕は素直に「こんな人についていきたい」と思いました。
〈取材・文=サノトモキ(@mlby_sns)/編集=天野俊吉(@amanop)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉

GLAY通算15枚目のアルバム『NO DEMOCRACY』が、10月2日に発売!

デビュー25周年となるGLAYが贈るニューアルバム『NO DEMOCRACY』!
渾身の全14曲にくわえ、特典として令和初のライブ映像を収録したDVDも…
等身大なリーダー哲学でバンドを率いるTAKUROさんのインタビューとあわせて、ぜひアルバムもお楽しみください!