時短推進の働き方改革の中で、20代の若者はどのように成り上がれば良いのか|池田 紀行|note

★★★:バランスよく議論できる
★★☆:意見を吟味する
★☆☆:客観的情報
☆☆☆:議論用ではない
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ある特定のオピニオンが述べられる
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Sep 16, 2019 02:54 AM
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調査、データ、観察的
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国が本気で働き方改革を断行している。
背景に、日本は2013年に国連から、「長時間労働の従事者が多い」「過労死や精神的ハラスメントによる自殺が職場で発生し続けていることを懸念する」と是正勧告を受けていることが影響しています。
日本の長時間労働は国際的に見ても深刻で、働き盛りの30~40代の長時間労働が特にひどいとのこと。
一億総活躍社会に向けた働き方改革の柱として、長時間労働を改善していくことに何の反対もない。ぜひやってほしい。
でもだ。
これから長い社会人人生が待っている20代と、そろそろアガリが見えてきた50代。圧倒的な自己成長のためにたくさん経験を積みたいと考えている20代と、オンとオフはキッチリ分けて定時であがりたいです押忍!の20代も、ぜーんぶひっくるめて36協定な!違反したら懲役または罰金だぞ♡ は、どうなのよと思うのです。
経営者として「もっと社員を働かせたい!」と言いたいのではない。むしろその逆だ。「若いうちに大量の経験を積みたい」「圧倒的成長のためにもっと仕事がしたい」と切望している可能性あふれる20代の若者に、「残業はさせてあげられない、帰れ」「自宅で仕事をしても、それは時間外労働にカウントされるから駄目だ」と言わなければならない、このやるせなさ。
「定時で帰りたい人」は帰れば良いし、育児に力点を起きたい人は、ワークスタイル選択制度を活用すれば良い。すべての人がハードワークをすべきだなんてこれっぽっちも思っていない。
ただ、定時で帰りたい人や育児に専念したい人は、その選択権を得ることができるのに、もっと働きたい、早いうちに圧倒的な経験を積みたいと希望する人には、その選択権を与えることができない。
これでは、国としての人材競争力を高めることはできないし、それこそ、一億総活躍社会が実現しようとしている「個性と多様性の尊重」「多様な働き方の推進」に逆行している気がするのです。
僕は、いまから24年前の1995年に社会人になった。サビ残、休日出勤当たり前の会社でシゴかれ、3年間で6年分くらいの営業経験を積んだ。
26歳でマーケティング業界に転職してからも、深夜残業、休日出勤当たり前、徹夜だって珍しくない生活を送り、28歳でコンサル会社に転職したあともその仕事の仕方は続いた。
1/3は大量の仕事がさばききれないための長時間労働だったが、2/3はもっと仕事の精度を高めたい、できることの幅を広げたい、クライアントへの提供価値を向上させたい気持ちからの自己判断による深夜残業や休日出勤、徹夜作業だった。
時代がそれを許してくれた。
おかげで、29歳でマーケティングコンサルタントとして独立することができたし、その後34歳でトライバルメディアハウスを創業していまに至るわけだけど、それもこれもすべては20代のときの圧倒的なハードワークが源泉になっていることは否定しようもない事実なわけです。
サイバーエージェントの藤田社長も、最初の著書『渋谷ではたらく社長の告白』で、「若いうちは質を高める前に、まずは圧倒的な量をこなすべき」と言っている。ほんと、その通りだと思う。
何も知らず、何もわからず、何も経験したことの無い新卒の若者が、どうやって最初から質の高い仕事ができるっていうんだ。理想を掲げるなら、お前やってみろよ、である。
そんなこと、どんな天才にだってできっこない。高いパフォーマンスを出す第一人者になるためには、業界で一目置かれる存在になるためには、若い頃に大量の仕事をこなし、圧倒的な経験を積まなければならない。
でも、いまはその環境を提供してあげることができない。コンプライアンス(法令遵守)という壁があって、逆立ちしても、「やりたいならやってみろ!」と言ってあげられない。
学歴なし、知識なし、経験なしだったどうしようもないピヨピヨの僕が、いまこんな立場で仕事をさせてもらえているのは、20代の頃の圧倒的な仕事量の賜物以外の何者でもない。
しかし、自分は経営者として、次の、”そういった働き方をしたいと望む” 若い世代に同じ経験を積ませてやることができない。でも、いまの仕事の仕方では、たぶん、中の上くらいまでしか行けない。残酷なまでに、それが見えてしまう。
だから、ここで言う。
君たちは、まだ何もできない。でも、どこまで成長してしまうかわからない可能性の塊でもある。
もし君たちが、「普通では嫌だ」「一目置かれる存在になりたい」「カネなし、コネなし、学歴なしだから、圧倒的な努力をして成り上がりたい」と思っているのなら、国の施策、会社が守らなければならない法令やルールに縛られず、自分で圧倒的な努力をする方法を探り、実行してほしい。
10年後、20年後に、「あの頃は、国が働き方改革を推進していたから」「圧倒的な量の経験を積みたかったんだけど、会社が許してくれなかったんだよねー」と言っても、誰も助けてはくれない。
あなたの職能スキル、専門性、キャリア形成、代替困難性、転職容易性、高い年俸、それらの持続可能性は、あなたにしかつくれない。
外部環境は、いまのあなたに制約を与えるが、未来のあなたの責任はとってくれない。いまやらないことのツケは、かならず将来、あなたに降り掛かってくる。その責任は、過去、あなたに制約を与えた環境や人ではなく、あなた自身が取ることになる。
申し訳ない気持ちでいっぱいだけど、会社は、所定内労働時間と36協定での範囲内でしかチャンスを与えてあげることができない。
「時代の空気」というものは恐ろしい。みんなが同調し、それが当たり前だと思ってしまう。それで良いという社会的コンセンサスをつくってしまう。
でも、ビジネスの世界は全世代競争だ。前時代にハードワークをした人も、現代を生きる働き方改革世代も、同じリングで戦わなければならない。かなり少数の例外はあるにせよ、「仕事力=知識×過去の経験量(累積矢面時間)」だから、同じ競技で戦ったら勝てる見込みは少ない。
だからお願いだ。
時代に流されず、己が目指す山の頂上だけを目指して、自身で圧倒的努力をしてください。本を読み、人に会い、仕事の精度や幅を広げるための思考と行動を怠らないでください。
「仕事は量ではなく、質がすべてだ」と言う人がいる。
そんなことは当たり前だ。バカでもわかる。でも、その肝心の質を高めるために、とにかく圧倒的な量が必要なんだ。それを若い内にやっておかなければならないんだ。
いまをときめく有名人は、ほぼ例外なく、人生のある時期に異常なまでのハードワークを経験している。多くの人は、一目置かれている人の完成形しか見ていないから、過去に行った水面下の努力に気づかない。
だが、断言してもいい、そういう人たちも、みな通った道なんだ。
普通じゃ嫌なのなら、一目置かれるレベルまで到達したいのなら、圧倒的な景色が見たいのなら、若い内に、自身で圧倒的なハードワークをしてください。
機会を提供してあげられなくて、ごめん。
PS
自主的な残業(仕事)を望む人間なんて超々ごく一部で、多くはブラック企業などによるサビ残や「やりがい搾取」だから、そういった世の中の大部分の不幸を減らすために現在の働き方改革は良いこと、ということは僕も重々承知しているし、1万%同意しています。
ここで言いたいのは、それでも ”たった一人” の熱意あふれる若者の、”もっと働きたい” という希望を会社として許してあげられないことの悔しさなんです。
全体最適のための犠牲者なのはわかるんですが、仕事力というものは実務の累積矢面時間によってつくられるから、パラレルキャリアとか、副業とか、やらないよりはやった方がいいんだけど、やっぱり目の前の仕事を通して成長させてあげたい。
一度きりの人生の中で、働く場所としてうちを選んでくれた彼ら、彼女らのキャリア人生に責任を負っている身からすると、それがとてもつらく、悔しいのです。