フェイスブック、豪でニュース提供中止 報道機関への支払い法案に反発 - BBCニュース

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☆☆☆:議論用ではない
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Feb 18, 2021 11:00 PM
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米フェイスブックは18日、オーストラリアのユーザーに対するニュースコンテンツ提供を停止した。市民が重要な情報にアクセスできなくなる危険性が出てきている。
オーストラリア議会は現在、フェイスブックやグーグルなど大手テクノロジー企業に対し、ニュースコンテンツを提供する企業に代金を支払うよう義務付ける法案を審議中。フェイスブックの今回の動きは、この法案への対抗措置だった。
オーストラリアではこの日朝から、国内外のニュースサイトがフェイスブック内で提供するページが閲覧できなくなった。また、同国ニュースサイトのフェイスブックページは、国外からも見られなくなっているという。
さらに、政府の保健・緊急対応ページや、一部の政治家や慈善団体、ニュース系ではない企業のページなども閲覧できなくなっていたが、フェイスブックはその後、これは間違いだったと表明。アクセスを復活させるとしているが、いつまでにそうするかは明示していない。
フェイスブックの広報担当者は、法案の「ニュースコンテンツ」という文言を「広義に捉えた」からだと説明している。
オーストラリア政府はフェイスブックの措置に強く抗議し、「デジタル・ソーシャルメディア大手が市場に対して持つ巨大な影響力」のあらわれだと批判した。
ジョシュ・フライデンバーグ財務相は、ニュース情報の閲覧禁止は「コミュニティーに大きな影響がある」と指摘した。オーストラリアでは毎月約1700万人がフェイスブックを利用している。
フライデンバーグ財務相は、政府は法案可決に尽力するとした上で、「オーストラリアでフェイスブックが見られるのが望ましい」と述べた。
「だが、同社の今日の措置は不要で間違っていると思う」
フェイスブックやグーグルなど米テクノロジー各社は、この法案はインターネットの仕組みを反映せず、プラットフォーム各社に不公平な「ペナルティー」を科すものだと批判している。
しかしフェイスブックとは対照的に、グーグル・オーストラリアは最近、オーストラリアのニュースサイト3社と支払い契約を結んだ。
フェイスブックの閲覧禁止措置が始まる数時間前には、ルーパート・マードック氏経営のニューズ・コープと、関連メディアのニュースコンテンツについて契約している。
オーストラリア当局は、苦境に立たされる国内メディアとテクノロジー大手との間に、利益面での「公正な競争の場」を設けるため、今回の法案を提出した。現在、国内メディアが得るデジタル広告収入100豪ドル(約8200円)のうち81ドルがグーグルやフェイスブックの取り分となっている。
しかしフェイスブックはこの法案によって、「メディアとの関係の実態を無視した法律を順守するか、オーストラリアでのニュースコンテンツ提供サービスを中止するか、厳しい選択を迫られている」と説明。
また、フェイスブックは昨年、同サービスを通じた閲覧で豪メディアに4億700万豪ドルの売り上げを提供したが、「フェイスブックがニュースから得る利益は最低限にとどまっている」と述べた。
今回の閲覧禁止により、オーストラリアのメディア各社が自社のフェイスブックページにニュースサイトなどへのリンクを投稿することもできなくなった。公共放送ABCのほか、シドニー・モーニング・ヘラルド、オーストラリアンといった新聞各社は、フェイスブックに数百万人のフォロワーを抱えている。
信用できるニュースソースへのアクセスが突然断たれたことに、国内では怒りの声ががっている。
フェイスブックは、新型コロナウイルスのパンデミックや全国的な災害などの緊急情報を得る重要な手段だったと訴える声もある。
また、今後はフェイスブック内に偽情報があふれてしまうという懸念も浮上している。
人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのエレイン・ピアソン豪代表は、フェイスブックがオーストラリアの情報の流れを検閲する事態は「危険な状態だ」と指摘した。
「たった一晩で、一国における重要な情報へのアクセスを遮断するのは不当だ」
法案は17日に下院を通過しており、オーストラリアの保守政府は引き続きこの法案を推進している。与野党双方から支持があり、きょうも議会で審議が続いた。
フライデンバーグ財務相は、「この法案を可決させる。巨大デジタル各社には、独自記事を作り出している伝統的なニュースメディアに対価を支払ってほしい」と語り、「ここで起きていることに世界が注目している」と付け加えた。
財務相はさらに、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)と「建設的な」会話を行ったことを明らかにした。
一方で、フェイスブックもグーグルと同様に、豪メディアとの支払い契約をめぐり交渉を進めていたと指摘。閲覧禁止措置は「瀬戸際」で行われたもので、フェイスブックの信用を損なうものだ述べた。
「フェイスブックは事実上、オーストラリア国民に対し、『プロのジャーナリストを雇い、編集方針を定め、事実確認を行っている組織が提供するコンテンツは、もうフェイスブック上で見れなくなる』と言っているに等しい」

<解説>主導権を握りたいフェイスブック ――ジェイムズ・クレイトン北米テクノロジー記者

フェイスブックにとってオーストラリアは大きな市場ではない。ニュースコンテンツも売り上げに大きく寄与していないという。ではなぜこの法案を重視しているのだろうか?
これはむしろ、原理原則の門代だからだ。他国がオーストラリアの動向に注目している。カナダや欧州連合(EU)までもがオーストラリアに続くのではないかとの憶測が流れている。フェイスブックが回避したい事態だ。
フェイスブックはすでにいくつかのメディアにコンテンツの対価を払っている。たとえばイギリスでも複数のメディアと契約を結んでいる。
各国政府が介入し、ニュースメディアへの支払いを命じ、価格までも決めるような事態を、フェイスブックは避けたいと思っている。
だからこそ、政府がテクノロジー大手に強気の姿勢を見せた場合、その結果がどうなるのかを見せることにしたのだ。
しかしこれは盛大に失敗する可能性がある。要するにフェイスブックじゃサービス上からオーストラリアのニュースを一気に消せると示したわけで、これは反民主主義的で、権威主義的でさえあると、批判の声がすでに出ている。