「批判的な記事を消せと命令された」 ネタニヤフ首相の汚職裁判で初証言 イスラエル - BBCニュース

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Apr 6, 2021 11:46 PM
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イスラエルで5日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相の汚職疑惑をめぐる裁判が始まった。最初の証人となったニュースサイトの元最高経営責任者(CEO)は、ネタニヤフ氏に不利になる記事を「消す」よう命じられたと証言した。
ニュースサイト「Walla」のイアン・イエシュア元CEOはさらに、オーナーのシャウル・エロヴィッチ氏からネタニヤフ氏のライバルを攻撃する記事を書くよう指示されたと述べた。
検察側は、ネタニヤフ氏が自分に好意的な記事を書いてもらう見返りとして、エロヴィッチ氏に数億ドル相当の利益を生む規制上の便宜を図ったと指摘している。
ネタニヤフ氏とエロヴィッチ氏は共に容疑を否認している。
イスラエルでは過去2年で4度の総選挙があったが、与野党共に過半数を獲得できず、政情がこう着状態に陥っている。今年3月の総選挙でも同様の結果になった。
これを受けてレウヴェン・リヴリン大統領は今週にも各党の党首と会談し、連立協議を主導する人物を決定する見通し。
ネタニヤフ氏は現在、「ケース(事件)1000」、「ケース2000」、「ケース4000」と呼ばれる3つの疑惑に絡んで贈収賄と詐欺、背任の罪に問われている。
  • ケース1000:ネタニヤフ氏は、富裕層の友人の便宜を図る代わりに、シャンパンや葉巻といった高価な贈答品を受け取っていたとされ、詐欺と背任の容疑をかけられている。
  • ケース2000:ネタニヤフ氏は大手新聞イエディオト・アハノロトに対し、競合他社を弱体化させる法案と引き換えに、自分に好意的な記事を掲載するよう求めたとして、詐欺と背任の疑いがかけられている
  • ケース4000:ネタニヤフ氏は大手通信ベゼクの筆頭株主であるエロヴィッチ氏と、この通信社に規制上の便宜を図る見返りに、自分に好意的な記事を「Walla」に掲載してもらう取り決めを交わしたとして、贈収賄と詐欺、背任の容疑がかけられている
ネタニヤフ氏は全ての疑惑を否定しており、反対派勢力による「魔女狩り」だと批判。汚名を晴らすと話している。
今回の審理についても「はりぼて」だと一蹴し、検察側が「クーデターを企てている」と批判した。
裁判が始まった5日、エルサレム地方裁判所の前にはネタニヤフ首相の支持者と、退任を求める抗議者が集まった。
リアット・ベン・アリ検察官は裁判の冒頭で、これは「政府の汚職に関わる重大で深刻な容疑」だと述べた。
ベン・アリ検察官は、首相が「個人的な利益のため、自らの権力を不当に使い、イスラエル主要メディアのオーナーたちに不正な利益を要求し獲得していた」と指摘。「ネタニヤフ氏と被告人らの関係は、取引可能な通貨のような材料となっていた。これによって公務員の判断がゆがめられる恐れがあった」と述べた。
エルサレム地方裁判所の前に集まった、ネタニヤフ氏の退任を求める抗議者たち。横断幕には「Prime Minister(首相)」と「Crime(犯罪)」をかけたスローガンが書かれている
「Walla」のイアン・イエシュア元CEOの証言は、ケース4000の要になると考えられている。ケース4000は贈収賄容疑が絡んでおり、ネタニヤフ首相にとっては最も深刻な疑惑とされている。
イエシュア氏は、2012年後半から、エロヴィッチ氏から「首相や妻に批判的な記事を消し、有利な記事を投稿しろ」という命令を受け取り始めたと語った。
また、「首相に反対する人たちを一版する記事」を書くよう命令されたという。
さらに、「(ネタニヤフ氏が)今週、自分のために便宜を図ってくれるから」と言う理由で、ただちに記事を取り下げるよう、エロヴィッチ氏から命令されたことも何度かあったと証言した。
裁判所前にはネタニヤフ首相の支持者も集まった
ネタニヤフ氏はケース4000について、この疑惑で指摘されている規制には専門家も同意していたうえ、エロヴィッチ氏から見返りは受け取っていないと主張。「Walla」には自分に批判的な記事も載っていたと述べている。
5日の審理の後、ネタニヤフ氏は検察側が権力乱用だと主張するのは「偽善」だと批判した。
「私を訴追する手続きの全ては、検察が持つ破壊的な権力の乱用だ」
「右派の強力な首相を、こうやって倒そうとしている。これこそクーデターの企てだ」
ネタニヤフ氏は現在、推定無罪の状態で、イスラエルでは裁判中の公務続行を妨げる法律は存在しない。
また、もし有罪となっても、控訴できる限りは辞職を求められることもない。
エフード・オルメルト前首相は2008年、汚職疑惑で捜査対象となった際に党首を辞任したものの、翌年の選挙までは政権に残った。この選挙でネタニヤフ氏が勝利し、政権交代となった。
オルメルト氏はその後、贈収賄と詐欺、司法妨害、背任で有罪となり、禁錮2年3カ月の実刑判決を受け、1年4カ月服役した。