オバマ氏、1回の選挙でアメリカの「真実の腐敗」は止まらない BBCインタビュー - BBCニュース

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☆☆☆:議論用ではない
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ある特定のオピニオンが述べられる
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Nov 20, 2020 12:00 AM
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考察的・思想的
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調査、データ、観察的
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アメリカのバラク・オバマ前大統領(59)は、アメリカが今、国内の分断を悪化させた「ばかげた陰謀論」文化を覆すという大きな課題に直面していると、BBCのインタビューで語った。
オバマ氏はBBCのインタビューで、アメリカはドナルド・トランプ氏(74)が大統領選で勝利した4年前より急激に分断されていると指摘。今回の大統領選でのジョー・バイデン氏(77)の勝利は、こうした分断の修復の始まりに過ぎないと示唆した。
「1回の選挙だけでは、こうした傾向は覆せない」
そして、分極化した国家に対処するには、政治家の判断に任せるだけではなく、構造的な変化や人々が互いの意見に耳を傾けること、つまり「共通の事実」に同意した上で、それをどうするか議論することが必要だと、オバマ氏は主張した。
一方で、次世代の「洗練された」立ち居振る舞いには「大きな希望」があるとし、「世界は変われるという慎重な楽観論を育み」、「その変化の一端を担うよう」若者に求めている。
オバマ前大統領は、自身の最新の回顧録のプロモーションのためのBBC Artsのインタビューで、歴史学者のデイヴィッド・オルソガ氏と対談。アメリカの地方と都市部の間に生じている怒りや憤り、移民問題や不平等などの不当行為、そして「一部で真実の腐敗と呼ばれている、複数の陰謀論」がアメリカの一部メディアによって増幅され、「ソーシャルメディアに加速されている」と語った。
「私たちは今、非常に分断されている。私が大統領選に初出馬した2007年よりも、選挙に勝利した2008年よりも確実に」
オバマ氏は、トランプ氏が「自分の政治に良かれと思って分断をあおる」ことをいとわなかったことが、この分断の一因になっていると示唆した。
また、この問題に大きく影響している別の要因について、「事実は重要ではない」との考えが存在するオンライン上での偽情報の拡散を挙げた。
「数百万人もの人々が、ジョー・バイデン氏が社会主義者であり、ヒラリー・クリントンが小児性加害者ネットワークと関連がある悪の秘密結社の一員であるという主張に賛同している」
ヒラリー氏のこうした話は、民主党議員がワシントンにあるピザ・レストランを拠点に小児性加害者ネットワークを運営しているとの偽情報にまつわるものだ。
「どこかのタイミングで、規制と業界内の基準を組み合わせた対応が必要になると思う。事実について何をすべきか議論する前に、少なくとも共通の事実を認識するということに立ち返るために」
オバマ氏はバイデン氏(右)について、「今我々が大統領に必要としている資質を全て持ち合わせている」と評価している。写真は新型ウイルス対策で社会的距離を保つため、肘であいさつを交わす2人
オバマ氏は従来型の主流メディアが近年、オンライン上の偽情報の拡散に対処するためにファクトチェックを取り入れているものの、「事実が公になるころにはすでに虚偽情報が世界中を駆け巡って」いるため、そうした取り組みでは不十分な場合が多いと指摘する。
また、米国内の分断は、地方と都市部との不平等や格差の拡大といった社会経済的な要因の結果でもあるとしている。
オバマ氏は、「経済発展というはしごを失ったと感じた人々が、この集団のせいだとか、あの集団のせいだと言ったり、そう思わされたりしている」とし、こうした現象は「イギリスや世界中でも起きている」と付け加えた。
アメリカ初の黒人の大統領として歴史に名を残したオバマ氏は、人種問題は「アメリカの歴史において中心的な亀裂の1つであり、我々の原罪」だとしている。
5月に米ミネソタ州で警官に首を押さえつけられて死亡した黒人男性ジョージ・フロイドさんの事件などをきっかけにアメリカで今夏に広まった、「白人と同じように黒人の命にも意味がある」という意味が込められたBlack Lives Matter運動は、世界中にも広まった。こうした中で絶望と希望の両方が生まれたと、オバマ氏は言う。
「我々の刑事司法制度に慢性的に根強く残る人種問題と偏見が、このようなあからさまな形で続いていることへの絶望と、(中略)我々がかつて目にしたものをはるかに超えるほどの、平和的な抗議活動と問題への関心があふれ出していることで希望が生まれている」
今回の抗議行動に様々な人種の人が加わっていたことが重要で、2012年にフロリダ州で武器を所持していないトレイヴォン・マーティンさん(当時17)が射殺された時とは人々の反応が違うと、オバマ氏は指摘する。マーティンさんを射殺したジョージ・ジマーマン氏は翌年に殺人罪で起訴されたが、正当防衛の主張が認められて無実となった。
オバマ氏は、2014年にミズーリ州ファーガソンで当時18歳のマイケル・ブラウンさんが白人警官から6発の銃弾を受けて死亡した事件についても言及した。ブラウンさんは当時、武器は所持していなかった。
これらの事件は全米で人種と公正に関する議論を引き起こした一方で、「白人コミュニティーの大部分には、これらが単なる1つの事件ではなく、単なる腐ったりんごの話ではないといった考えに対して抵抗感」が今もあるようだと、オバマ氏は言う。
「あなた方は今夏、わずかな黒人しかいない一部のコミュニティーで、人々が黒人の命は大切だと声を上げ、本当の変化が起きなければならないという考えを受け入れる様子を目の当たりにした」