注目が集まる「CASE」「MaaS」って何? それぞれどう違うの? | トヨタ自動車のクルマ情報サイト‐GAZOO

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☆☆☆:議論用ではない
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Oct 26, 2020 12:53 AM
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調査、データ、観察的
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    クルマ社会の将来を考えるときに、知っておかなければならない言葉が「CASE」(ケース)と「MaaS」(マース)でしょう。そのどちらもが、これから登場する新型車やコンセプトカー、私たちの暮らし方などにも密接に関係するもの。今回は「CASE」「MaaS」が、具体的にどんなものかを解説していきます。

    クルマの進化する方向を示す「CASE」

    現在、自動車業界のあちらこちらで使われる「CASE」という言葉は、もともとメルセデス・ベンツが2016年に発表した考えでした。それは「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(シェアリングとサービス)」「Electric(電動化)」の頭文字をつなげたもの。
    メルセデス・ベンツは「わが社は、これからCASEに注力します」と発表したのです。言ってみれば、「これからのわが社のクルマはCASEに向かって進化する」というわけでしょう。ところがこの方針は、メルセデス・ベンツ一社だけではなく、ちょうど自動車業界全体の動きにも合致するものであったため、「我も我も」と便利な言葉として「CASE」が広く使われるようになりました。
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    では、「CASE」に向かって進化するとクルマはどのようになるのでしょうか?
    まず、「C」の「Connected(コネクテッド)」。いわゆる通信機能です。クルマの通信機能が高まると、数多くのメリットが生まれます。単純にクルマの中で映画や音楽などのエンターテインメントが、今よりもさらに楽しめるようになります。
    また、交通事故が発生したときに自動で通報してくれるシステムの実用化も通信機能アップの賜物です。さらに、未来の自動運転の実現に欠かせない地図データーなどの送受信にも優れた通信機能が必須となります。「クルマとクルマ」「クルマと道路」などのインフラが通信することで交通安全を高める技術も開発が進んでいます。
    そして、完全なる自動運転のクルマが実用化されたときに、通信とセットで新しいサービスが生まれることが期待されています。ちょうどインターネットが普及することで世の中が大きく変わったように、クルマに優れた通信機能が備わることで、自動車社会が大きく進化する可能性があるのです。
    レクサスLSをベースにした自動運転実験車「TRI-P4」
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    「Autonomous(自動運転)」は、文字通りに自動でクルマを走らせる技術です。運転手の不用な完全なる自動運転を理想としますが、それだけではなく、理想に至る道程となる運転支援システムなども、この「A」に含まれます。現在のところ普及が進む衝突被害軽減自動ブレーキや全車速追従機能、車線キープのステアリングアシストなどの機能も「自動運転」の入り口と言えます。
    「Shared & Services(シェアリングとサービス)」は、クルマの新しい使い方を意味します。これまでクルマは、「個人が買って使う」という所有が基本でした。そこを、「必要なときだけ借りる」「必要のないときは貸す」「みんなで共同所有する」などといった新しい使い方も広めていこうという考えです。より、便利でコストの安いクルマの使い方が模索されています。
    最後の「Electric(電動化)」は、ハイブリッドや電気自動車(EV)を増やしていこうという意味です。これは,地球の環境問題対策とも関わるもので、「クルマが吐き出す二酸化炭素を減らさなくてはならない」という大前提が背景にあります。
    メルセデス・ベンツの電気自動車「EQC」
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    クルマが排出する二酸化炭素を減らすというのは、簡単に言えば「燃費を良くする」と同じ意味になります。少し前まで欧州の自動車メーカーの多くは、「環境問題は今ある内燃機関エンジンの改良で対応可能」と言っていました。しかし、さらに燃費性能を高められる「Electric(電動化)」に方針を転換したのです。
    ちなみに日本は、「Electric(電動化)」に関して言えば、世界最先端と言っていいでしょう。ベストセラーカーはハイブリッドカーですし、電気自動車(EV)も10年近く前から販売されています。これから「Electric(電動化)」を目指すというのではなく、すでに「Electric(電動化)」は普及しているという状況です。
    ちなみに「第46回東京モーターショー2019」では、「CASE」の派生とでも言える「PACE」という言葉が登場しました。提案したのは欧州の大手サプライヤーであるBOSCH(ボッシュ)です。
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    そもそも部品を製造するサプライヤーにとって、「CASE」の「S」である「Shared & Services(シェアリングとサービス)」は、正直いってあまり関係ありません。そのため、東京モーターショーでもその他のサプライヤーの多くは「弊社はCAEに注力しています」と説明していました。「CASEはやっているけど、Sは関係ないよ」というわけです。
    ところが、BOSCH(ボッシュ)は「S」の代わりに「P」を加えたのです。「P」とは「PERSONALAOZED(パーソナライズド)=個人化」です。そして、スマートフォンをクルマのカギに使う技術などを紹介しました。「PACE」という言葉が広く普及するかどうかは不明ですが、そのような考えもあるというわけです。

    クルマの新しい使い方を意味する「MaaS」

    クルマがどんどんと「CASE」を進化させた先にあるもの。それが「MaaS」です。「MaaS」とは「Mobility as a Service」の略で、直訳すると「モビリティはサービスと同じ」。意味合いは “移動”すること自体をサービスとしてとらえるという考えです。クルマだけではなく、自転車のような個人的な乗り物から、電車やバスといった公共交通も含まれているのが特徴です。
    東京モーターショー2019にて、トヨタが一人乗りのMaaS車両「e-4me」を発表した
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    複数の交通手段の決済の統合から始まり、コネクテッド機能を搭載した自動運転のEV利用まで幅広いアイデアが検討されています。ちなみに決済の統合といえば、日本のSuicaも「MaaS」のひとつと言えるもの。クルマの売るのではなく、移動サービスを提供するというのが「MaaS」であり、現在は「どのようなMaaSが実現化できるのか?」「どのようなMaaSであれば便利になるのか?」「どうすればビジネス化できるのか?」などが、模索・開発されている段階です。
    東京モーターショー2019記者会見にて、e-paletteより登場したトヨタの豊田章男社長
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    トヨタが発表した「e-Palette」は、そうした「MaaS」専用車両として開発されている車両です。この車両は2020年の東京オリンピックでの運用が発表されています。「MaaS」専用車両が街中を走る姿を見る未来は、意外に近いのかもしれませんね。
    (取材・文:鈴木ケンイチ 写真:トヨタ、メルセデス・ベンツ、鈴木ケンイチ 編集:木谷宗義+ノオト)